痛みコントロール完了!がんと共存!立ち上がった柴犬ムクちゃん!

クリスマスをむかえました。
ムクちゃんは、悲鳴をあげつつ、散歩もままならず、食欲も落ちてきました。

どうしようもなく、ホームドクターが言っていた、プレドニンという副腎皮質ホルモンで有名なステロイド処方を行うことにしました。
これも、きいたり効かなかったり。アセプロマジンも同時に投与していました。

ふと、大学病院やホームドクターにも動物の世界では安楽死という選択もあることを思い起こしました。近所の方からも安楽死についての話を聞いて理解もしていました。最後まで苦しませて、死なせてしまった経験のある方が2人もいたのです。
経験者の言葉は重く真摯に受け止めました。近所には犬好きが多く、大学病院への通院経験も多い方ばかりで、いろんな話ができ恵まれた環境です。
これも東京農工大学、日本獣医生命科学大学、東京大学などに通える地域ならでは良さなのかもしれない。そういった意味で、少しでもネットの情報共有で参考となってくれればと思い書いています。

日獣の先生とはメールで日々連絡を取り合いながら、相談することができ、これぞインフォームドコンセントという体験をすることが出来ています。
これは大変励みになりました。その後の対応も冷静に分析して頂いています。
安楽死についても、痛みを抑えられないのであればという的確なアドバイスをしていただけました。

日獣の先生の言うアメリカ的な安楽死の考え方も先生の論文を読んで納得はできたし、ホームドクターの言うドイツ的な思考である生きる意志を尊重する考えも納得できる。
私は、双方の意見を聞く事ができて非常に恵まれていると感じました。ただ一貫していえるのは、動物の気持ちになるという事である。
人の医療でも問題となっており、WHOでも掲げているQOL(クオリティオブライフ:生活の質の向上)とうものがある。
つまり、質の良い暮らしが出来るかどうかの指標であり、これを維持できない状態で生きていることが果たして幸せなのであろうかという事である。
これは、ムクちゃんだけでなく、我々人間にも言えることである。ペットにもこの言葉を使うことができるこの時代は幸せな時代であるとつくづく感じることができた。

そして、この悲痛な叫びをするムクちゃんの瞳をみると、もう死なせてほしいとうったえているようであった。
クリスマス前にホームドクターへ電話して、もう2014年12月27日に安楽死をお願いしたい旨を伝えました。

そこで、ホームドクターから話を聞かされました。
まだムクちゃんに生きる意志があるとこと。日獣の先生と連携したところプレドニンが多少でも効くのであれば量を増やしましょう。というのである。
実はホームドクターも日獣卒の方で、よく相談にのってくれます。大学病院との連携もスムーズです。

冷静になり、プレドニン3錠とアセプロマジン3錠を投与してみた。すると、夜泣きが一切なくりました。
その後、2錠半、2錠と減らしました。そして、現在は20時にプレドニンのみ(1錠半)で落ちついています。

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表情が穏やかになり、プレドニンの副作用でもあるようですが手作り食をたくさん食べます。お母さんのズボンの上が安心するようです。

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昼間の悲鳴もなくなり、お座り、おて、おかわりも可能に。みんなのひざ掛けが大好き。

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歩行するようになり、散歩でも泣かなくなりました。

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ついには、車でお出かけして、ひろばで自分の毛布にマウンティング行為までするようになりました。
走る事はできませんが、宅急便の人に低い声で吼えることも出来るまで回復しています。
QOLは確実にもどっています。

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ただし、薬による効果であり、がんが治ったわけではないのです。
いつ悪くなるかわからないため、年末からムクちゃんの小屋の横に布団を引いて寝ています。

痛みコントロールが出来でQOLを高めることが出来きたため、安楽死はいったん先延ばしにすることにしました。
そして、緩和治療あわよくば数年延命という選択肢をする余裕がでてきました。

そこで、放射線治療による緩和を検討し始めました。根治は難しいかもしれないが、緩和ができればと思い放射線治療に目を向けてみました。
放射線といえば、副作用が怖いと聞きます。ですが、外科手術にも副作用もあるし、臓器摘出などといったことにより機能喪失に伴うQOLの低下は避けれれません。化学療法とはことなり、正常細胞に及ぼす影響も極所的です。

これらと比較すると放射線は比較的副作用が少なく、細胞へ働きかけるため非常に効果的であることもわかりました。しかも、加速度の高い装置であれば正常細胞へのダメージも少なくて済むということもあります。そのなかでも、日獣ではリニアックという人にも使われている機械のメガ電子ボルトでの治療が可能であることも、背中を押してくれました。

人で言うと先進医療対象の重粒子線や陽子線といって、もっと電子ボルトの高いもので副作用が少ない技術もある。ただ、全国で数か所しかないらしく、稲毛の重粒子センターでは、315万かかるらしい。さすがに、獣医分野ではこれらの装置はなかった。

本当は免疫細胞のNK細胞を取り出して、培養して自然治癒力を高める方法が良いのですが、まだまだ、手探りの状態なので、現段階ではやめておきます。お金もかかります。近い将来、この方法が確率されるといいのですが。

日獣の先生から連絡があり、腫瘍科、放射線科の先生方と相談したところプレドニンの効果があることから、まずは、がんを出来るだけ特定するための骨髄穿刺の提案を受けました。腫瘍事態の生検が難しいなか、背周囲への転移が多いことから脳骨髄液を採取し調べるということです。

推測されているのは、多発性骨髄腫である。この多発性骨髄腫の、治癒薬として処方されるのがプレドニンであることを、ネットで調べ論文を読みこれではないかと推測するとともに、穿刺に至った意図も汲み取ることができました。

ただ、M蛋白の値などが、血液検査や尿検査で検出されていないため、多発性骨髄腫の中でも特異なものなのかもしれない。いずれにしても、骨髄穿刺が原因特定のきっかけになると思っています。

もし、多発性骨髄腫であれば、メルファランとプレドニンでの効果が、人で50%程度の人が改善されるという結果から、試してみたいとは思っている。

本当は、この確率が50%以下であれば、化学兵器のマスタードガスから生まれたメルファラン(アルキル系)は使いたくない。そもそもWHOで発ガングループ1に分類される発ガン物質でもあるからです。アルコールもそうですが。。プレドニンにも兵士のドーピング剤と開発されたものが、もとになっているみたいです。

他にも、サリドマイドやレナリドミド、ボルテゾミブなどもあるが、未承認だったり高価であったりとする。なので、メルファランで駄目であったら、化学療法はやめにするつもりである。

一番良いのは免疫機能の強化なので、食事療法、体温管理、適度なストレスの維持を目指して、持続可能な緩和治療をめざします。これでも、推測違いであれば放射線治療になるのであろうと予測している。

多発性骨髄腫
【出典】上野博史 脊髄腫瘍 酪農学園大学獣医学群獣医学類伴侶動物医療学分野 北獣会誌56(2012) http://www.hokkaido-juishikai.jp/wp/wp-content/uploads/2014/05/1209-01.pdf